代表質問④県内の中小企業・小規模事業者の現状と対策について

県内中小企業の方からは、景気もそれほどよくないとか、後継者がいない、必要な人材確保、人材育成が難しいなどの声を頂戴します。滋賀県では、中小企業活性化条例を制定し、海外展開や、建設業、小規模事業者応援などをしていますが、県として、現状どのように認識されているのか、伺いました。

Q;「中小企業活性化条例」ができてどのように変わったのか、実感がわかないとの声があるが、県はどのように認識しているか。また、こうした中小企業・小規模事業者の皆さんの声にどのように対応しようとしているのか

A;条例施行後、職員による企業訪問などに積極的に取り組む中で、事業者の皆さんからは、県の施策情報をより分かりやすく伝えてほしいといったご意見を、多数いただいてきたところです。
こうした声を踏まえ、今年度、実施計画に掲載している施策について、分かりやすく説明した冊子を作成し、施策情報の周知に努めております。
中小企業・小規模事業者の皆さんの声にどのように対応するかであるが、商工会議所や商工会等の会合等の中で、私も参加しながら、多様なご意見をお聞きするとともに、フォーラム等でのアンケート調査を実施するなど、様々な機会を捉えて中小企業・小規模事業者の皆様から直接、ご意見をお聞きいたしております。
しかし、もっともっと広く、そして強く意義と内容をお知らせする必要があると私も認識いたしております。今後も引き続き、皆様の生のお声をしっかりと把握しながら、中小企業活性化施策を見直して、着実に推進してまいります。

Q;モノづくりの技術力を活かし、オンリーワン企業を成長戦略の一つとして、予算と人材を投入すべきと考えるが、所見を伺う。

A;本格的な人口減少社会に突入し国内市場の縮小が予測されるとともに、新興国の成長など海外との競争が一層激化する中で、県内中小企業のオンリーワンを目指した技術開発を促進し、モノづくりの競争力強化を図っていくことが必要であると認識しております。
これまでから、本県においては、医学・理工系大学や大企業の研究所・マザ-工場の集積、中小企業の有する高度な技術力といった強みを活かしつつ、産学官連携による研究開発のプロジェクト構築に向けた支援や、工業技術センターによる技術支援などを通じて、県内中小企業の独自の技術開発を促進してきたところです。
現在、策定を進めております「滋賀県産業振興ビジョン案」においても、本県産業の強化を図る3つの「企業力」といたしまして、「サービス・販売力」「発信・連携力」とともに、「付加価値を生み出す技術力」を柱として位置付けているところであり、今後とも引き続き、県内中小企業の技術開発を重点的に支援することにより、オンリーワン企業の一層の育成・発展につなげてまいりたいと存じます。

Q;若者や女性が新しく起業を創出するためにも創業支援と融資制度を充実すべきと考えるが、知事の所見を伺う。

A;開業率が廃業率を下回っている中で、若者や女性の創業を促進するためには、私も創業支援や融資制度の充実が、大変重要であると考えております。
このため県では、創業者に対し「SOHOビジネスオフィス」等における活動拠点の提供をはじめ、去る10月には、滋賀の女性起業家の挑戦というテーマで、女性経営者フォーラムを開催するなど、創業に向けた機運の醸成を図るとともに、先月、国に対して「創業・第二創業促進補助金の継続および拡充」を提案してきたところでございます。
また、制度融資においては、女性の起業を積極的に支援するため、開業資金に新たに「女性創業枠」を設けたところ、10月末時点の利用件数は、対前年比較で男性の伸率を上回り、約1.8倍に増加しており、女性の起業促進に一定の効果を挙げております。
今後とも、若者や女性の創業・起業支援や融資制度のさらなる充実に、より一層努めてまいります。

Q;小規模企業振興基本法は、小規模事業者に対して、どのようなメリットがあり、地域活性化の観点から、県の役割として、何を求められているのか。

A;小規模企業振興基本法は、地域で雇用を維持して頑張る小規模事業者を正面から支援するため、中小企業基本法の基本理念である「成長発展」のみならず、「事業の持続的発展」を小規模事業者の振興の基本原則と位置づけられたところです。
小規模事業者にとっては、基本法に基づく基本計画の中で、一貫かつ継続した方針の下、地域の特色を活かした特産品開発、販路開拓への支援などの施策を重点的かつ効果的に実行するとされたところが、大きなメリットであると考えております。
また、地域活性化の観点からの県の役割についてでありますが、国と連携し、地域の特性に応じた施策を実施すると共に、小規模事業者が地域社会に貢献されていることを県民の皆さんに向け、発信することが求められており、地域経済の活性化につながるよう、小規模事業者の振興に努めてまいります。

Q;有効求人倍率が全国平均より低い原因について、どのように分析され、今後どのような対策をされるのか伺う。

A;議員ご指摘のとおり、本県の10月における有効求人倍率は0.96倍となっており、全国第29位、近畿2府4県では第4位となっております。また、正社員の有効求人倍率(原数値)につきましては、全国が0.70倍であるのに対して0.53倍となっております。
本県10月の雇用情勢について、滋賀労働局では、消費増税前の駆け込み需要の反動の長期化による消費回復の遅れや、円安の進行による原材料費、燃料費の高騰の影響によって、製造業の業績回復に足踏みがみられると見ております。本県の産業構造は製造業の比率が極めて高いことから、そのことが有効求人倍率に大きく影響していると考えております。
なお、従来から公表されてきた有効求人倍率は求人申込みの「受理地別」に集計されたものであり、大企業の本社を多く有する府県の数値が高くなる傾向がある。これに対して、本県は大企業の事業所や研究所が多く立地しており、有効求人倍率が相対的に低い値を示すことにもなります。「就業地別」に集計した有効求人倍率でみますと、本県の場合、1.11倍となり受理地別の0.96倍を0.15ポイント、全国平均の 1.10倍を0.01ポイント上回っており、
「就業地別」では近畿2府4県の中で第1位となっております。
いずれにいたしましても、本県の雇用情勢は改善の動きが弱まっていることから、おうみ若者未来サポートセンターや滋賀マザーズジョブステーション等を
通じて、求職者に対して、きめ細かな就労支援を労働局と協力しながら引き続き行っていきます。

Q:企業における人手不足、および若者の早期離職に対する改善策について伺う。

A:今年度実施しました県内中小企業へのアンケートによりますと、課題として「人材不足」が多く挙げられております。また、民間企業の調査によると、大企業と中小企業における大卒求人倍率には 8 倍以上の差があると言われております。

そこで県では、「滋賀の“三方よし”人づくり事業」を実施いたしまして、若年求職者と県内中小企業とのきめ細やかなマッチングを行い、人材確保に取り組んでおります。

また、県内企業の魅力を発信する就職支援サイト「WORKしが」を今年度リニューアルし、11 月末には、約 220 社、今年度末には約 600 社の企業情報の掲載を予定しております。
若者の早期離職についてでありますが、新規学卒者の卒業後3年以内の離職率は、大学卒業者で約3割と高水準であり、若者の職場定着はひとつの課題。
そこで、今年度から、若手従業員向けのカウンセリングや集合研修を実施するとともに、企業向けの従業員意識調査やコンサルティングを開始いたしました。
こうした取組を引き続き行っていくことで、県内中小企業の人材確保や若者の定着に向けて努めてまいる所存です。

Q:県内出身の学生が県内企業に就職してもらうために、どのような施策を検討しているか、伺う。

A:先ほど答弁いたしました、三方よし人づくり事業やWORKしがの取組のほか、今年度新たに、若年求職者と県内中小企業が一堂に会する企業説明会を開催いたしまして、県内企業が持つ強みや魅力を発信することとしております。

また、12 月4日に青山学院大学において開催されますU・Iターンセミナーにブースを出展するなど、中部圏や首都圏の大学にも担当者が直接足を運び、学生に県内企業が持つ強みや魅力を発信することで、Uターン・Iターン就職を促進してまいる所存であります。