③公共施設等マネジメントについて

近年、公共施設等が平均寿命を迎え、大幅な見直しの時期となってきました。公共の役割をどう捉えていくのか、またこれまで進められてきた指定管理制度は当初の目的通りのものになっているのか、行財政対策特別委員会での調査や公共施設等マネジメントの研修を踏まえ、今定例議会での指定管理案件含めて質問しました。

Q;これまでの公共施設等マネジメントの取組と新たな基本方針の内容について伺う。

A;これまでは、個々の分野ごとに対策の検討を進めてきており、橋梁や流域下水道、農業水利施設等のインフラ・公営企業施設において、長寿命化等に係る計画を策定しているほか、平成26 年5月には建築物を対象に「県有施設利活用基本指針」を策定し、ファシリティマネジメントの取組に着手したところです。
一方、議員御指摘のとおり、公共施設等の老朽化に伴う財政負担は莫大であり、今後いかに負担の縮減・平準化を図っていくかが重要な課題であると認識いたしております。このため、今年度中に県の全ての施設を対象とした「公共施設等マネジメント基本方針」を策定し、中長期的かつ総合的に取組を進めることといたしております。同方針の原案におきましては、今後の人口減少や利用ニーズの変化等も踏まえつつ、「施設総量の適正化」に係る取組を不断に行いますほか、存続させる施設において「長寿命化対策」や「選択と集中による計画的な更新・改修」を行い、財政負担の縮減・平準化を図ることといたしております。また、維持管理の最適化を図る観点から、定量的な管理目標の設定や、ライフ・サイクル・コストの把握、民間活力の活用などに努めるとともに、施設を活用した歳入確保策も推進し、有効活用を図ることといたしております。
今後、こうした取組を全庁挙げて着実に推進し、持続可能で質の高いサービスの提供に努めてまいる所存でございます。

Q;指定管理者制度の導入による県民満足度の向上の効果について伺う

A;これまで、導入施設におきましては、利用者へのアンケートなどによる利用者のニーズの把握を行いながら、民間の発想・創意工夫を活かして、様々なサービスの向上が図られてきたところと承知いたしております。
例えば、施設の利用時間の延長をはじめ、各種イベントの開催や遊具等の充実、さらには、接遇の改善や手続面の利便性向上など、利用者目線に立ったきめ細かなサービスの提供が行われているところでございます。
こうした取組の効果は、利用者数にも一定表れているものと考えておりまして、例えば、制度導入施設のうち、人数を把握している30施設全体で、制度導入前の約356万人から398万人へと約42万人増加しているほか、利用者満足度の向上などの効果も見られるところです。
県といたしましては、こうした指定管理者の取組を促すとともに、適正な管理運営を確保するため、全施設で定期的にモニタリングを実施いたしまして、指定管理者との意見交換や実地調査を行っているところでございますが、今後、モニタリングの充実を図りながら、得られた結果を有効に活用し、より魅力的で質の高いサービスの提供につなげてまいりたいと存じます。

Q;県と指定管理者の協定のあり方についての考え方を伺う

A;指定管理者が有するノウハウを活用し、質の高いサービスの提供につなげていくためには、県と指定管理者の間で、達成すべき管理目標やサービス水準を明確化し、共有することが重要であると認識しております。このため、募集時に提示する業務仕様書や、選定事業者との協定書において、業務内容やサービス水準を詳細に示すとともに、県が定期的に実施しておりますモニタリングの中で、その履行状況等について確認を行っております。
加えまして、サービスの質を高める上においては、指定管理者の創意工夫や自主事業の取組を引き出すことも重要であり、これまでから、審査基準の一つに自主事業の項目を設け、積極的な取組を促しておりますほか、今年度さらに、事業者の意欲をより高める方向で、指定管理料の参考額の算定方法や指定管理者の行うべき修繕等の基準の見直しを行ったところでございます。また、議員御指摘の指定管理者の労働条件の確認につきましては、募集時において応募条件の一つとして労働関係法令の遵守を求めるとともに、従事者の雇用形態や勤務条件について、施設管理の適切な履行の観点から、申請書類の中で確認を行っているところでございます。
今後とも、管理目標の達成や労働条件の確保に向け、従来の取組の徹底や、さらなる充実・強化を図るとともに、引き続きサービスの提供に必要な管理料を提示しながら、民なら
ではの取組を促し、より質の高いサービスの提供につなげてまいりたいと存じます。

Q;指定管理者の選定のあり方について考え方を伺う

A;指定管理者の選定に当たっては、条例で定めております選定基準等に照らして、最も適切な管理を行うことができると認められる者を総合的・客観的に判断することが求められることから、選定委員会の委員には、施設の特性に応じた専門的立場の方や学識経験者、公認会計士等を選任いたしております。また、審査を通じて委員から頂く貴重な御意見等は、候補者の選定のみならず、施設の運営改善やサービス向上にも活用しているところであります。今後も、施設の特性に応じた専門的な御審議をいただけるよう、部会の設置や会議開催日のきめ細かな調整など丁寧な委員会運営に配慮いたしますとともに、頂いたご意見等をしっかり分析しながら、施設の運営改善や次回の選定手続に適切に反映してまいりたいと存じます。
次に、指定管理者の選定過程の情報公開につきましては、現在は、候補者選定後に、県のホームページ上で、審査基準と併せて、選定結果や選定理由を公開しているところでございます。が、今後は、審議で出された意見の概要も併せて示すといった公開内容の充実を図りながら、さらに分かりやすい情報提供に努めてまいりたいと存じます。

原文です↓

全国的に、高度経済成長期に建設整備された多くの公共施設等が平均寿命を迎え、大規模な改修や更新が必要な時期となってきました。特に、高度経済成長期以降、人口が増加し、経済が成長する中で公共施設等の整備が進められてきましたが、人口減少、少子高齢化など社会経済情勢の変化に鑑みても、公共施設等の在り方そのものについても、抜本的な見直しが必要と考えられるようになりました。

滋賀県でも、これまで増加してきた人口が、昨年人口減少の局面に入ったとされる中、今年度、「公共施設等マネジメント基本方針」の策定を予定されています。現在、滋賀県では、建物が約4100棟、施設が494施設あり、築50年以上の施設は、面積ベースで、10年後には約30%、20年後には約60%近くまで増加する見込みです。インフラ施設、公営企業施設については、20年後にそれぞれの想定耐用年数を経過するのが、道路、砂防、河川管理、港湾といった施設で50%を超え、農業水利施設に至っては、既に来年度で約45%となっています。

公共施設等の維持管理、修繕、更新などにかかる経費についてみてみますと、建築物については、今後、このままですと30年間で総額5300億円程度、単年度で平均約177億円と推計されています。インフラ施設については、総額5290億円、単年度で平均約176億円、公営企業施設では、総額約5340億円、単年度平均約178億円と推計されています。すなわち、現状のままで試算しますと、単年度で合計約531億円となり、現在の一般会計の約10%の規模に相当することになり、これからの時代を見据え、統合、取捨選択が重要となってきます。これまで建築物のファシリティマネジメント、インフラ・公営企業のアセットマネジメントに取り組んでこられましたが、①これまでの公共施設等マネジメントをどのようにしてこられたのか、新たな基本方針にどのようなことを盛り込もうとされているのか、お伺いします。

 次に、指定管理制度について伺います。

滋賀県では、コスト削減を図り、民間活力を取り入れたサービス向上を図るために、これまで公共施設において指定管理者制度の導入を拡大してきました。 先月、行財政対策特別委員会では、PFIを中心に原宿警察署と周辺地域を一体とした活性化の取組みや、横浜市立サイエンスフロンティア高等学校での調査をし、様々な民間のアイデアが活かされている旨、伺うことができました。これまで、直営ではなく、②指定管理者制度を取り入れることによって、滋賀県では、どのように民間活力によって、県民の満足度が高められたといえるのか、指定管理者制度導入の効果について、お伺いします。

 指定管理者制度を巡っては、更新の度にコスト削減効果は言われるものの、サービスの質向上について、図られているといえるのか、疑問に感じられる公共施設もあります。その一つには、修繕費の負担が挙げられるのではないでしょうか。

従来、100万円以下の修繕については、指定管理者の負担とされ、指定管理料が削減される中で、修繕の負担が大きいことも課題となっておりました。修繕金額の負担については、見直しがされたものの、本来指定管理者制度は、一定のサービスの質に対する責任分担の在り方でもあり、指定管理者との協定の中で、提供されるサービスを明確にしておく必要があります。 また、人件費の削減などでコスト削減をし、指定管理者の労働雇用環境の悪化が見受けられるところもあると仄聞しています。発注者として、今後も指定管理者制度を進めていくに、指定管理者の労働条件について審査する「労働条件審査制度」を導入すべきではないでしょうか。労働条件審査制度は、東京都板橋区や千葉県流山市を始め、全国で導入が進みつつあります。そこで、これらを踏まえた③指定管理者との協定の在り方について、お伺いします。

 次年度に向けて、今定例会議でも指定管理の決定についての案件が17件上程され、11件が公募でありました。指定管理者の決定については、各専門的立場から、サービスの提供により、どのように県民のニーズに応えていくのかなど、審査項目に沿って審査がされます。特に、今定例会議では、社会体育施設に関する指定管理者の指定案件が上程されていますが、スケジュールの都合上、7名中3名欠席で、実質4名で審査決定されています。文化財と社会体育施設が共に教育委員会所管であることから、一括審査されたものと推察されますが、専門的見地からの審査が十分にできないのではないでしょうか。ネット会議システムの利用や施設ごとの特性にあった審議委員の選定見直しを図り、指定管理者の選定過程を県民がより納得しやすいよう公開していくべきだと考えます。④これらのことを踏まえて、指定管理者選定の在り方についてお伺いし、次の質問に移ります。