⑤障がい者施策について

チームしが県議団では、共生社会しがを創るため、各地へ寄せて頂いています。今回は、来年障がい者差別解消法の施行があり、昨年県の障害者プランを策定されたこと、これまで各養護学校や近江学園を会派で調査に伺いました。また、先般教育の日でも上映された「みんなの学校」のモデルとなった大阪の大空小学校も寄せて頂き、地域の学校に通うこと、一人ひとりの居場所をつくることをモットーに、質問させて頂きました。

Q;滋賀県障害者プランの基本目標達成に向けての課題認識と今後の方向性を問う

A;本県の障害福祉施策の背景には、障害のある人の「幸せに暮らして生きたい」という思いを受け止め、その思いに寄り添って実現の方策を考え、たとえ制度がなくても自ら取り組むという現場の実践が常にあったものと認識いたしております。そうした障害福祉の現場の皆さんの様々な実践が、県の施策となり、その中には、知的障害者のグループホームなど国の制度となって全国に広がった取組も少なからずあると承知いたしております。
これまでの取り組みにより、障害のある人の地域での暮らしを支える環境は徐々に整いつつあるものの、発達障害や難病をはじめとする「制度の谷間、空白の解消」や医療的ケアが必要な障害のある人への支援をはじめとする「本人のニーズに合った支援の提供」など、それぞれの方が望む暮らしを実現できる社会へは、まだまだ多くの課題が残されております。
こうしたことから、現プランにおきましては、発達障害のある人への支援の充実、障害のある人の就労支援の促進、重度心身障害や行動障害など本人のニーズに合った専門的な支援の充実を含みます8つの重点施策について、今年度からの3年間に集中的に取り組むことといたしております。
今後の方向性についてでございますが、障害のある人が暮らしやすい社会は、すべての人にとって優しい社会になると考えております。民間と行政の協働のもと、先駆的な取り組みを重ねてきた土壌を活かし、すべての人が生き生きと活躍し、居場所と出番を実感できる共生社会の実現に向けた施策を着実に進めてまいりたいと思います。

Q;(仮称)「滋賀のめざす特別支援教育ビジョン(実施プラン)」の骨子素案における教育環境の充実とは、具体的にどのようなことを目指していこうとしているのか、伺う

A;実施プランの骨子素案については、子ども一人ひとりが地域で学ぶことを基本とし、教育的ニーズに応じた学びの場を柔軟に選択することができるよう、教育環境を整えようとするものであります。また、具体の取組といたしましては、「共に学ぶ」を基本の柱とした6つの視点に基づいて進めることとしており、例えば教員の資質能力の向上や、発達段階に応じた指導の充実、社会的・職業的自立の実現などを掲げているところでございます。
特に、教育環境の充実については、小中学校への特別支援学校分教室の設置など、共に学ぶための新しい仕組みづくりや、子ども一人ひとりの障害に応じた合理的配慮を提供するための、教育環境を整えることが重要であり、これらについて、現在、市町教育委員会とともに検討を進めているところでございます。
ご指摘の特別支援学校の空調設備についても、合理的配慮の提供の一つとして、これまでから、体温調節が困難な児童生徒が使用する普通教室を中心に設置してきており、今後も引き続いて整備を進めてまいります。
また、学校敷地内の里道や水路についても、子どもたちの活動の状況などを踏まえ、学校施設を増改築するなどの機会を捉え、整理してまいりたいと考えております。県教育委員会では、インクルーシブ教育システムの構築に向け、障害のある子どもと障害のない子どもが、可能な限り地域の学校で共に学ぶことができるよう、引き続き教育環境の充実について検討し、取り組んでまいる所存でございます。

Q;近江学園の施設の老朽化・体制についての認識および今後の整備の必要性について、知事の見解を伺う

A;現在の近江学園は昭和46年に建設されております。老朽化が進んでおります。施設設備面では、建物に構造的な問題もあり、十分とは言い切れないところもございますが、入所児童の居室の個室化等については、複数人部屋における間仕切り設置などの一定の改修を行ってきたところでございます。支援の体制については、児童数概ね2人に1職員の配置をし、基準を上回る職員配置を行っており、入所児童の支援に支障をきたさないよう現場で工夫しながら対応していただいている状況です。
今後の整備の必要性についてでございますが、被虐待児の増加や家庭基盤の脆弱化など、支援が必要な障害児の特性が大きく変化してきており、この変化に対応できる施設の機能を整理した上で、職員が効果的に支援できる建物の構造にしていく必要があると考えています。
施設の機能整理につきましては、同じ障害児入所施設であります信楽学園とあわせまして、平成29年度末までに検討する予定であり、その検討結果をもとに、老朽化への本格的な対応をすすめてまいりたいと存じます。

原文です↓

昨年、滋賀県では、すべての人が生き生きと活躍し、居場所と出番を実感できる共生社会をめざして、「滋賀県障害者プラン」を策定されました。みんなでいっしょに働き、みんなとまちで生きるという基本理念のもと、その人らしく、いつでも、だれでも、どこでも、みんなで取り組むという5つの視点から、地域でともに暮らし、ともに学び、ともに働き、ともに活動することの実現という基本目標を掲げていらっしゃいます。そこで、①6年間の初年度、基本目標達成に向けての現在の課題認識と今後の方向性について、知事にお伺いします。

先般、文教・警察常任委員会において、(仮称)「滋賀のめざす特別支援教育ビジョン」の実施プランにかかる骨子素案が示されました。計画期間を10年間と定め、導入期から定着期、そして拡大期へと進行していく過程で、インクルーシブ教育システムの構築を着実に実現していこうとするものです。障がいの有無を問わず、お互いの人格と個性を尊重しながら、共に育ち、共に歩んでいく社会は、私たちがともすれば失いかけていた人と人との絆を取り戻していく大きな挑戦とも言えるでしょう。その意味においてもこの骨子素案は、現状の課題を的確に捉えた上で、今後の方向性を示し、具体の取組までを教育分野だけにとどめず、地域社会や他の機関との連携も視野に入れた包括的な計画であることを評価したいと思います。

私どもの会派では、今年度に入り、県内のいくつかの養護学校を訪れ、視察をしてまいりました。障がいのある児童生徒が安心して楽しく学べる学校は、子どもたちだけでなく保護者や教職員の大きな願いであり、今回の骨子素案においても、教育環境の充実がうたわれています。

 今、県内の市町では、幼稚園やこども園、保育園、小中学校などの空調設備の設置が進められています。それに比べて、県立学校では、あまりにも立ち遅れているように思えます。特に、障がいのある子どもたちが通学する特別支援学校において、健康状態に配慮しながら快適な学習環境を提供していくことは、県の責任ではないでしょうか。また、学校の敷地内に公図上の「里道」が、私たちが把握しているだけでも2校あります。「里道」とは、「里」の「道」と書き、明治時代から道路として位置づけられており、その多くは、100年以上経った今でも、道路として利用されています。このため、道路法の適用のない法定外公共物である「里道」があることにより、建造物は建設することはできず、一般の方の進入を制限することすら困難です。このことは、子どもたちの安全を守る上で大きな問題と言わざるを得ないのではないでしょうか。②骨子素案における教育環境の充実とは、具体的にどのようなことを目指していこうとされているのか、教育長にお伺いします。

  糸賀一雄先生は、戦後の混乱期に戦災孤児や障がい児を積極的に受け入れ、県立近江学園やびわこ学園をはじめ、さまざまな施設の整備と運営を全国に先駆けて取り組まれたことは周知の通りです。「この子らを世の光に」という言葉は全国に響き渡り、多くの若者が滋賀に集まり、その思いと実践を共有したと聞き及んでいます。

 その県立近江学園に、先日、会派で調査に寄せていただき、就労に向けて木工作業に励んでいる様子や、根気強く焼き物作品の創作に取り組んでいる様子を拝見しました。 しかし、一方で、コミュニケーションが難しく、行動障がいも多い重度の障がいがある人たちの生活環境と、それを見守る職員の少なさに驚きました。もともと生活棟と言われる建物は、築40年前後経過しており、老朽化は否めません。と同時に、廊下は、人が行き交うことのできないほどの狭さであり、配管むき出しのお風呂場や、布団を片付けることができないほど収納スペースも狭い状況です。 また、現在、重度の障がいのある人たち15名が、同じ建物に居住し、常時3名の職員で対応されており、ゆとりをもって丁寧に関われる状況ではありませんでした。知事は、常々「だれもが居場所と出番のある社会」とおっしゃっていますが、現在の近江学園が居場所足りうる場所となっているのでしょうか。 先日、私たちの会派との政策協議会の後、近江学園の施設改修について言及されていますが、③改めて現在の近江学園の施設の老朽化ならびに体制について、どのような認識を持たれているのか、また県として整備の必要性について、知事にお伺いし、次の質問に移ります。