⑥中小企業・経済政策について

全国的にもそうですし、滋賀県内でも事業者数、従業員数をみても、ほとんどが中小企業であり、どういった経済政策をするのか、これまでの意見交換を含め、今回は全体の状況と小規模事業者に対する支援として、条例の改正について、質問しました。

Q;滋賀県の中小企業の現況について、どのように分析しているのか伺う

A;県が実施し、10月30日に公表いたしました景況調査の7月から9月期の結果において、業況を示しますDI値は、大企業がプラスの2.4であるのに対しまして、中小企業では、前期4月から6月期と比較して改善傾向が見られるものの、マイナス8.8となっております。また、中小企業の10月から12月の業況見通しについてのDI値は、マイナス幅が拡大する状況となっているほか、多くの企業が「需要の停滞」や「ニーズの変化への対応」、「従業員の確保難」などを経営上の課題とされているところでございます。
こうした状況から、県内の中小企業の状況は、大企業と比較すると引き続き厳しい状況にあると認識いたしております。

Q;中小企業の体力を強化する支援について、どのように考えているのか伺う

A;こうした厳しい経営環境の中で中小企業の体力強化を図るためには、資金繰りの改善はもとより、営業力や販売力の強化が大変重要であると認識しております。このため、今年度の制度融資において、経営基盤の弱い小規模企業の資金繰りを支援するため、経営支援資金に小規模企業者特別枠を創設し、10月末現在で45件、貸付金額1億1,632万円を利用していただいているところでございます。また、金融機関に対して、円滑な資金供給とともに、販路開拓や経営改善計画の策定、返済計画の見直しなど、経営課題に応じた解決策の提案を通じ、中小企業者の経営支援に協力いただくよう毎年要請しているところです。
今後も経済動向を注視し、商工関係団体の経営指導員等とも連携を図りながら、中小企業の前向きな事業展開の支援に重点を置き、地域に根差して事業活動を行う小規模企業に寄り添った伴走型支援を強化してまいりたいと存じます。

Q;小規模企業への支援に向けた条例改正について、知事の所見を伺う

A;小規模企業への支援に向けた条例改正についてでございます。本県において、小規模企業の占める割合は、86.7%を占めており、小規模企業は、地域の経済や社会の担い手として、生産や消費活動、さらには雇用や地域づくりの面で、大変、重要な役割を果たしていただいております。このため、県では、平成25年4月、「滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例」を施行し、中小企業の活性化に全庁を挙げて精一杯取り組んでいるところでございます。
このような中、昨年6月、小規模企業を中心に据えた新たな施策の体系を構築すべく、小規模企業振興基本法が制定され、小規模企業について、中小企業基本法の基本理念である「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持を含む「事業の持続的発展」が位置づけられたところでございます。また、去る10月には、商工会議所連合会をはじめとする3団体より、小規模企業の更なる振興に関する要望をいただいたところでございます。
県といたしましては、小規模企業振興基本法の趣旨を踏まえ、県内企業の8割以上を占める小規模企業がさらに活性化することにより、地域経済が発展していくよう、現行条例の改正について、検討を進めてまいりたいと考えております。

原文です↓

いわゆるアベノミクスは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」により経済拡大を図り、経済成長と雇用を生み出して、強い日本経済をつくることを目的とする政策でした。しかし、内閣府が11月16日発表した7~9月期GDP速報値によると、年率換算0.8%のマイナス成長で、4~6月期の同0.7%マイナスに続いて2四半期連続のマイナスに陥っており、「景気回復の動きが足踏みを続けている」状態が続いているとエコノミスト等から指摘されています。円安効果などで、企業収益が過去最高水準になっている一方で、賃上げや設備投資の伸びは小さく、企業の内部留保や手持ちの現金・預金が増える傾向にあります。

政府は、昨年4月の消費税率引き上げ以降、GDPの6割を占める個人消費の低迷が続いていることから、2020年ごろにGDP600兆円を実現するために「企業の内部留保をもっと賃上げに使うべきだ」として20年代半ば頃までに最低賃金を時給1000円にするとの目標を打ち出しました。こうした中、滋賀県内企業の99.8%を占める県内中小企業の動向が、今後の滋賀経済を左右するものと考えます。

まず、滋賀県の経済動向について伺います。

商工中金が行っている『中小企業月次景況観測』によりますと、全国の「2015年10月の景況判断指数は48.7となり、9月(49.0)から0.3ポイント低下した。指数の低下は2ヵ月ぶり。製造業の景況判断指数は前月比横ばいの48.1となったが、非製造業が前月比0.6ポイント低下の49.1と落ち込んだことが響いた。2015 年11 月(予測)は49.5。予測値としては3ヵ月ぶりに景況感の「好転」「悪化」の分岐点である50を下回り、先行きの期待は弱まった。中国をはじめとした海外経済の減速が背景にあるとみられる。このことから、2015年9月の調査結果は「中小企業の景況感、改善期待続く」としていましたが、10月の調査結果は「景況判断指数、横ばい推移」としています。①  滋賀県の中小企業の現況について、どのように分析しておられるのかお伺いします。

次に、中小企業の支援について伺います。

日本銀行および各金融機関が属する協会のデータによると、昨年3月の預貸率は、都市銀行64.8%、地方銀行70.3%、第二地方銀行73.3%、信用金庫50.3%、信用組合52.2%、でした。ここ10年間の推移を見ても、地方圏における預貸率の低下が顕著となっています。また、中小企業が民間金融機関から借り入れを行う際に、信用保証協会がその借り入れに保証する信用保証制度を活用する率を見ると、平成25年度には100%保証と言われるセーフネット保証が18.8%まで落ち込んでおり、一方で金融機関が20%のリスクを負担する責任共有保証の割合が75.3%まで上昇しています。滋賀県でも、金融機関の預貸率は約60%であり、中小企業への貸出金額は増加しているものの、滋賀県が金利の一部を補填する制度融資は減少傾向にあると仄聞しております。資金繰りをはじめ、経営環境が厳しい中小・零細企業の状況を改善する手立てが必要ですが、②中小企業の体力を強化する支援についてどのように考えておられるのか伺います。

次に、小規模企業への支援に向けた条例改正について伺います。

我が会派は、先月、県内の商工会連合会や中小企業団体中央会、中小企業家同友会、建築組合、バス協会などの経済団体からヒアリングを行い、組織強化支援や地域ブランド構築への支援、地元企業育成の観点からの分離・分割発注の推進、若年人材の確保や専門技術職活用への支援等について、意見交換をさせていただきました。それらを踏まえますと、滋賀県では昨年より小さな企業応援月間などの取組をされてきましたが、より小規模事業者に対するきめ細かな施策が必要と考えます。昨年6月に成立しました小規模企業振興基本法を踏まえて、③滋賀県が制定した「滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例」に小規模企業の定義づけと「小規模企業の事業の持続的発展」を位置づけてはどうかと考えますが、知事の所見を伺い、次の質問に移ります。