代表質問②地方分権のあり方について

平成5年の「地方分権の推進に関する決議」から、20年が経過しました。私が地方議会に興味を持つようになったのも、これが進めば、地方議会の役割も益々重要になると感じたからです。平成の大合併からも10年。政令都市、中核都市の誕生で、基礎自治体も多様になり、県と市町との関係も変わってきました。そこで、滋賀県としてどう捉えているのか、伺いました。

2、地方分権のあり方について

Q;過去20年の地方分権改革について、どのように評価しているのか伺う。

A:過去20 年の地方分権改革の評価についてでありますが、ご質問にもありました、地方分権改革の起点となった衆参両院の「地方分権の推進に関する決議」から20 年が経過し、第1次・第2次地方分権改革が進められてまいりました。
大きな権限移譲につながる国出先機関改革についてはその展開が見込めない状況であるものの、これまで、機関委任事務制度の廃止や国の関与に係る基本ルールの確立が行わ
れるとともに、地方に対する事務・権限の移譲、義務付け・枠付けの見直し、国と地方の協議の場の設置など数多くの法制面での整備が行われてまいりました。
その結果、地方の自主自立性が高まり、地方分権を進めるための条件が整えられてきたと評価しているところです。

Q;県は、今日までの改革の取り組みをどのように総括されるか伺う。

A;地方分権一括法の施行に伴い、住民に身近な市町村において地域課題の解決を完結して行えるよう、市町村との協議のもとに平成12 年9月には「権限委譲実施計画」を、平成18 年2月には「さらなる権限移譲基本計画」を策定して市町村への権限移譲を進めてきたところです。
また、義務付け・枠付けの見直しを実りのあるものとするためには、各地域の実情を反映し、独自の基準を定め、運用していくことが必要となっております。
このため、本県では、関係団体や学識経験者等への意見聴取や県民政策コメント等も実施しながら、本県の実情等を勘案した独自基準について検討し、条例により規定してきたと
ころであります。
例えば、県北部地域では、冬期の積雪時等に立ち往生する車両により通行に支障をきたすことがあるため、「道路法に基づく県道の構造に関する技術的基準を定める条例」によ
り、車道の縦断勾配について、積雪寒冷地域では、5パーセント以下にしているというような例もございます。
今後も、住民に最も身近な市町をしっかりと応援しながら、地域の実情に合った行政運営が行えるよう、地方分権改革の一層の取組を進めてまいる所存であります。

Q;国、地方協議の状況と協議の場に対する知事の考えを伺う。

A;平成23 年5月に「国と地方の協議の場」が法制化されてから、平成23 年度は臨時会合や分科会も含めて11 回もの協議の場が開催されていたが、平成24 年度は4回、平成25 年度は3回、今年度は現在まで2回の開催となっております。
議題については、設置当初は、「子ども手当」、「社会保障・税一体改革」等について重ねて協議が行われておりました。
しかし、この2年は、予算編成方針や骨太の方針など、国が行政施策を説明し、地方が要望を伝える場となっていることも多く、形骸化が懸念されるところです。
地方分権改革を推進し、直面している諸課題に適切に対処するためには、国と地方が真に対等な立場で協議を重ねることが不可欠であるというふうに考えているところでありま
す。
このため、地方交付税等の地方行財政にかかる重要案件については、企画立案段階から分科会が積極的に活用されるようにするなど、「国と地方の協議の場」の実効性が確保されるよう国に訴えてまいりたいと考えております。

Q;県民提案をいかに引き出し、どのように政策に活かすか、県民提案の取り組みについて知事の考えを伺う。

A;地方分権改革は住民自治を進めるもの、すなわち自治の主体である住民のために行うべきものであり、住民を置き去りにするような改革であってはならないと私もそう思います。
このため、県民の皆さんと直接対話する「こんにちは!三日月です」や、「県民政策コメント制度」、「県政世論調査」、「県政モニター」などにより、県民の皆さんの声や提案を県
政にしっかりと反映させることが重要であると考えております。現在策定中の次期基本構想や来年度に向けた施策構築などにおいてもこれらの制度や調査を活用し、県政への反映に努めているところです。
一方、住民自治を進めるためには、将来の豊かな滋賀について、県民の皆さん一人ひとりが考え行動してもらうことが重要だと考えております。
そのため、私や職員がこれまで以上に現場に足を運び、県民の皆さんの県政への関心が高まるよう、対話を重ね、共感を広げ、協働し、県民が主役の県政を進めてまいりたいと考えております。

Q;県と関西広域連合は提案募集にいかに対応されたのか、手揚げ方式への対応見通しとともに伺う。

A;今年度の提案募集に対して、7月に本県からは3件、関西広域連合からは、8件の提案を行いました。
現在、国の地方分権改革有識者会議等で、提案の実現に向けて調整が行われているところであるが、中間とりまとめにおいては、本県から提案した「保育士修学資金貸付事業の貸付対象の住所要件の撤廃」が、また、関西広域連合からの提案では「広域連合が国に移譲を要請できる事務の範囲の拡大」が、実現に向けて引き続き調整していくこととされております。
今後も、「提案募集方式」などの手法を使うことにより、地方主導による分権改革が進むよう努めてまいりたいと考えております。
また、権限移譲、規制緩和等の実施の際、「手挙げ方式」が選択された事項については、本県の実情に照らして検討を行い、受入可能な事項について積極的に手を挙げてまいりたいと考えております。

Q;安倍政権が進める地方創生の評価を伺う。

A;地方創生こそ日本再生につながる。地方創生で日本を元気にする。その視点や切り口は同感です。
ただし、地方創生にかかる交付金を創設しようとする一方で、地域自主戦略交付金を廃止したり、地方交付税を削減し、交付金の財源に充てようとする動きがあるなど、中央集権的な地方創生の流れがあることには違和感を抱いているところです。

Q;現行の地方交付税制度への考え方について伺う。

A;地方交付税については、「財源調整機能」と「財源保障機能」が適切に発揮されることが、経済効果を地域の隅々に波及させるために必要であり、その総額を確保するとともに、法定率の引き上げを含めた抜本的な見直しを行い、臨時財政対策債など特例措置に依存しない持続可能な地方財政制度を確立すべきであると考えております。
また、人口減少社会における豊かな地域づくりには、議員ご指摘のとおり、地域が実情に応じ必要な施策を自らの責任と判断により、しっかりと行うことができる財源が必要であ
ると考えているところです。
そのためには、地方創生や人口減少の克服のための歳出を地方財政計画にしっかりと計上し、地方交付税の充実が図られるとともに、その算定につきましては、客観的で適切な指標が用いられることが重要であると認識しております。

Q;人口減少、超高齢化、グローバル化の中で県が今後持続的に発展するために何が必要か、知事の所見を伺う。

A;本格的な人口減少社会の到来など、時代の大きな転換期を迎え、将来に対する不安が高まっております。このため、将来に対する不安を安心に変え、夢や希望を抱くことができる豊かな社会を築くことが求められています。
このような中で、滋賀には、これまでから時代とともに変化する様々な課題に向き合いながら、次世代のために美しい琵琶湖を守り続けてきた先人たちの歴史と伝統がある。この
歴史と伝統に学びながら、滋賀の強みを活かし、次世代のことも考えた、新しい豊かさというものを追求していきたいと思います。
知恵は現場にこそあります。環境や福祉の分野を中心に県民の皆さんと一緒になって先駆けた政策・構想を展開してきた進取の気風があります。草の根自治があります。その中で環境と経済を両立させながら培ってきたものづくり力など、滋賀の知恵と力にこそ、未曽有で不可避の変化の中で様々な課題を克服していく糸口があると私は考えております。