代表質問③医療福祉について

医療と介護の連携が言われますが、今後の介護保険法改正によって、県内の事業所の状況がどのようになってしまうのか、気になるところです。一方で、地域の困りごとを解決するコミュニティビジネスなどもうまれ、多様な主体が福祉を担うようにもなってきています。

Q;地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保について見解を伺う。

A;これまで、本県では、県全域の三次保健医療圏においては高度・専門医療を、そして7つの二次保健医療圏においては一般医療を、そしてさらには、市町や日常生活圏域においては在宅医療など、それぞれの医療ニーズに対応した体制整備に努めてきたところです。
この基本的な枠組みは、今後も変わらぬものと考えておりますが、まずは、医療に頼らない健康づくりに取り組み、あわせて、病院完結型の医療から地域完結型の医療への転換を
進めるために、各医療機関の、より明確な機能分担と、円滑な連携体制の構築が重要であると考えております。
具体的には、急性期から回復期、慢性期までの病院・病棟の役割を明確にするとともに、退院患者の受皿となる在宅医療の充実が喫緊の課題であります。
このため、来年4月施行の改正医療法に基づき策定を進める地域医療構想において、限りある医療資源を適切に配分しながら、地域にとって最適な医療を提供する姿を描き、来る
べき2025 年に向けて、関係者とともに取組を進めてまいります。

Q;「地域包括ケアシステム」の構築を目指して、市町への支援、さまざまな医療介護従事者の人材確保、連携について、今後在宅医療をどのように推進していくのか、見解を伺う。

A;まず、市町への支援についてでありますが、今般、「医療介護総合確保推進法」が成立したことに伴い、今後、市町において、介護に加え在宅医療の推進に取り組んでいく必要があることから、これまで以上に、県と市町とが連携・協力していかなければならないと考えております。
そのため、医療・介護サービス資源の把握、健康づくりの取組や在宅での療養・看取りについての地域住民への普及啓発など、在宅医療の推進に積極的に取り組む市町に、これまで補助してきたところであり、引き続き、その成果を情報提供するなど、広域性・専門性を活かして市町を支援してまいります。
次に、さまざまな医療介護従事者の人材確保・連携についてでありますが、県医師会と共催で在宅医療に携わる医師の増加を目指したセミナーの開催でありますとか、市町ごとの
在宅療養を多職種で支える地域リーダー養成などを実施し、多職種連携の仕組みづくりに引き続き取り組んでまいります。
これらさまざまな取り組みにより、今後とも、在宅医療が着実に推進するよう、県としての役割をしっかりと果たしてまいりたいと思います。

Q;医療機関と介護サービスの連携についての見解を伺う。

A;まずは、住み慣れた自宅で暮らし続けるために、健康を保つための取組とともに、介護サービス提供体制の一層の整備が必要だと考えております。
特に、訪問介護と訪問看護が密接に連携して日中・夜間を通じた対応を行う定期巡回型のサービスをはじめ、医療ニーズが高い人にも対応できる在宅介護サービスの実施を市
町、介護サービス事業者等に働きかけていく必要があります。
また、たんの吸引など医療的ケアが実施できる介護職員を継続的に育成して、医療ニーズの高い人を受け入れることができる事業所を増やしていくほか、介護老人保健施設の在宅復帰支援機能の一層の充実を図るなど既存の介護施設の受入体制も強化してまいります。
さらに、在宅介護サービスを提供するためのケアプランを作成する介護支援専門員と医療機関の連携を強化する必要があります。
このため、病院から介護支援専門員への着実な引継ぎが行われるよう退院支援のルールづくりや退院支援担当者の育成に取り組んでまいります。
こうした取り組みを通じまして、医療機関と介護サービスの連携を強化することで、できるだけ健康長寿を保つとともに、医療から介護への流れを着実につくりあげ、各市町にお
ける地域包括ケアシステムの構築を支援してまいります。

Q;「地域包括ケアシステム」の構築による、経済と医療福祉の統合について、知事の考えを伺う。

A;少子高齢化が急激に進行し、社会保障を取り巻く状況は大きく変わってまいりました。今般の医療・介護にかかる制度改正も、こうした状況を踏まえ、持続可能な社会保障制度の確立を図ることを目的としていると承知しております。
地域包括ケアシステムは、市町が中心となり日常生活圏域を基本に、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供できる体制であり、議員ご指摘のとおり、単に、医療・介護サービスの提供という側面だけでなく、そこから生まれる雇用や産業、さらには、まちづくりなど多面的に捉えることが必要であるというように考えております。
女性や若者、高齢者や障害者等あらゆる人を、介護や生活支援などの担い手として育成し、それぞれの能力や経験等を活かした雇用の場の創出や起業を促進することで、身近な地域内での人・モノ・資金の循環を図り、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。

Q;社会保障を取り巻く環境変化と社会保障のあり方について

A;私は、今日の長寿社会を実現できたのは、皆保険・皆年金という世界トップレベルの充実した社会保障制度のおかげであると認識いたしております。
この優れた社会保障制度を、まずは次世代に受け継いでいくことが大切であり、そのためには制度も社会の環境変化に対応していくことが必要ではないかと考えております。
こうしたことから、議員ご指摘の「社会保障制度改革国民会議報告書」において示された、子育て・医療・介護等の国民リスクに対応するための社会保障の機能強化と、これまでの高齢者中心から子育て支援も含めた全世代を対象とした社会保障への転換という2点の改革のポイントを進める必要があると考えております。
ご指摘のとおり、市場主義だけで制度が構築されるものではないと考えております。
県といたしましても、県民の皆さまのニーズを国へ届けるとともに、県民が望む社会保障を構築すべく、県の役割をしっかりと果たしてまいります。