代表質問⑤海外戦略と情報の受発信について

海外戦略については、私自身、滋賀の可能性を拡げるべく、水環境ビジネス、観光、地場産品、農畜水産物などについて関心をもって調査などをさせて頂いております。今回は、滋賀県とベトナムホーチミン市との経済分野における協力関係をつくっていくこととなり、この可能性をどのように感じ、今後どうしていくのか、また台南市との協定後、1年をどう捉えているのかについて。また、効果的なプレゼンテーションをどうしていくのか、などについて、伺いました。

Q;ホーチミン市での一連の訪問を通じて、ベトナムにおける滋賀県の可能性をどのように感じたのか。

A;ベトナムを含みます新興国においては、社会制度や法整備が発展途上であり、中小企業が円滑に進出するためには、許認可等において現地政府の協力を得ることが不可欠であることから、今回、県がホーチミン市と経済分野等の協力に関する覚書を締結するための訪問をいたしたところです。
まず、覚書を締結したホーチミン市人民委員会委員長との会談や、議員もご紹介いただきました、ベトウォーター、ジャパンフェスティバル等現地の視察を通じまして、ベトナムは、非常に親日的で、若い国であり、経済の発展も含め大きな可能性を秘めた国であると感じました。また、水や緑も豊富であり、環境保全と経済成長とを両立させていくことに強い関心があることを窺えました。
また、滋賀県ゆかりの企業を訪問いたしまして、海外展開への企業の情熱や感性にふれ、敬服もした次第でございます。
この訪問を通じまして、日越の友好関係を礎に、今後、滋賀の技術と経験を活かした協力関係を築き、高い技術と志を持っておられる県内企業の海外展開を総合的に支援することで、本県経済の活性化につながる可能性も感じたところであります。

Q;今後ベトナムでの海外戦略をどのようにしていくのか

A;県内中小企業のベトナムへの進出支援につきましては、当面は、今回締結をいたしましたホーチミン市との覚書に基づきまして、ホーチミン市のサイゴンハイテクパーク等への事業展開を積極的に支援してまいります。
そのためには、ホーチミン市政府や同市の経済界との間で相互訪問やビジネスマッチングにより、人と人とのつながり・ネットワークを深め、ビジネス機会の創出を図っていきたいと考えております。
また、県内中小企業のベトナム進出に際しましては、スタッフとして活躍するベトナムの方の人材育成が重要な課題となることから、これについても県として関係者と協力するよう努めてまいります。
水環境ビジネスにつきましては、議員もご紹介いただきましたカットバ島での草の根技術協力事業をはじめ各種事業をベトナムで実施してまいります。産学官民に蓄積された技術、
ノウハウに基づきます「琵琶湖モデル」によりベトナムの水環境課題の解決に貢献できるので、今後もこれらの事業を積極的に推進してまいります。
さらに、国際観光につきましては、日越友好40周年を記念して昨年度から始まったジャパンフェスティバルへ他府県と連携して参加をしております。今後も個人所得の伸びが期待
できるベトナムからの誘客の推進に努めてまいります。

Q;台南市とこの一年でどのような関係を築き、見えてきたことは何か。今後どのように台湾で海外戦略を進めていくのか。

A;昨年12月に、台南市と覚書を交わした後、現地に本拠地を置く中核的な企業とも「連携と協力」に関する覚書を交わしたほか、サポートデスクの設置を行いました。
こうした覚書に基づきまして、3月からは、県の支援により、県内NPO法人が現地に駐在し、政府機関や大学等との交流を行う中、様々な課題の発掘や情報の収集をし、それを
「しが水環境ビジネス推進フォーラム」参加企業で検討を行い、課題解決の提案につなげております。
こうしたことを踏まえ、10月には、台南市の工業団地で、環境フォーラムを開催するとともに、現地企業や市関係機関との技術交流・情報交換を行いました。一連の取組を通じま
して、現地のニーズやビジネス展開の可能性も見えてきたと認識しております。
また、びわ湖環境ビジネスメッセとして、台北での国際展示会に出展いたしましたほか、台湾政府機関である環境保護署に接触するなど、台南市以外にも展開を図っているところ
です。
一方、観光誘客につきましては、これまで事業者等とともに、台北等を中心に誘客活動や教育旅行誘致に取り組んでまいりました。今年は、台南市で開催されます国際旅行博にも出展する予定です。
今後、水環境分野のほか、観光なども含め、経済・産業分野の交流を、台湾全体を視野に入れ、展開してまいりたいと考えております。

Q;全体として、滋賀県の海外戦略をどのように進めて、滋賀県企業のビジネスチャンスを創出し、県内経済への効果をもたらしていこうとするのか。

A;本県の海外展開については、中小企業活性化条例などに位置づけ、私のトッププロモーションをはじめ、様々な活動を通じてネットワークを広げ、戦略的に進めているところです。
具体的には、県内中小企業の海外展開支援や水環境ビジネスについては、産官学金の連携が不可欠であると考えるため、滋賀銀行さんとの間の地域密着連携協定や、県内産業界とも連携しながら取組を進めており、さらに国やJETRO(ジェトロ)、JICA(ジャイカ)等との連携も重要と認識しております。
観光分野では、政府観光局や関西、中部・北陸と連携し、現地のキーパーソンや訪日旅行者へ積極的にPRを行うとともに、受入環境を整備してまいりたいと考えております。
今後も、本県企業の技術と経験を生かしたモノづくり・水環境ビジネスの海外展開や、滋賀の魅力を発信することにより、本県企業の売上の増加や雇用の確保などにつなげてまいりたいと考えております。

Q;滋賀県の魅力を効果的に発信するため、職員のプレゼンテーション能力の向上が必要と考えるが、海外向けの人材育成についてどう考えるか

A;議員御指摘のとおり、海外において、滋賀県の魅力や県内企業の技術等を紹介する機会は増えております。いかに効果的な発信を行い、本県の魅力を相手に印象づけるかという点において、私自身を含めまして、職員のプレゼンテーション能力の向上を図ることは大変重要であると認識いたしております。
海外において本県の魅力を発信する場合には、語学力だけでなく、本県の魅力を熟知し、相手の感覚や感性を踏まえた上で、印象づけることができるような高いプレゼンテーショ
ン能力が求められます。
このため、私自身を含めた県職員が、海外においても通用するプレゼンテーション能力を身につけられるよう、効果的な研修を工夫するなど、本県の魅力を効果的にPRすること
ができる人材の育成に努めてまいりたいと思います。