④森林政策について

9月に琵琶湖再生法が制定され、琵琶湖が国民的資産と定義されました。これまで、旧会派対話の会・しがねっとでも、琵琶湖の世界的価値と現状について、総務省に伺ったり、私自身、世界湖沼会議などを通じて、琵琶湖の多様な価値と、現状について多くの方に知って頂く取組みをしてきたので、嬉しい限りです。しかし、一方で明確な予算付けがされているわけではないので、理念だけに終わらないよう関係省庁含めた多様な関わりが進むよう取り組んでいきたいと思います。そのようなこともあり、今回琵琶湖を語る上でも、森林政策から取り組む必要が言われる中、森林政策について、質問致しました。

Q;これまで計画が果たしてきた成果と課題をどのように受けとめ、今回、どのような改訂を行い、取組施策・戦略を成し遂げていくのか伺う。

A;これまで環境重視と県民協働の観点から本計画を推進してまいりました。その結果、環境に配慮した森林づくりといたしまして、環境林整備面積では、目標1,600 ヘクタールに対しまして、平成26 年度は2,026 ヘクタール、また、県民協働による森林づくりといたしまして、琵琶湖森林づくりパートナー協定の締結数では、目標15 協定に対しまして23 協定となっておりまして、いずれも目標を達成し、大きな成果があったものと考えております。
しかしながら、議員ご指摘のとおり、林地境界の不明瞭化、ニホンジカ被害の増加、巨樹・巨木の保護など新たな課題も生じてきておりまして、水源林の保全や生物多様性の視点に立った新たな取組が必要となっております。また、本県の森林資源が利用段階へ移行しつつある中、搬出を伴う間伐面積や森林組合の木材生産に専門的に従事する作業員数では目標を達成することができず、森林資源の循環利用や次代を支える人づくりにおいて課題が残されていると認識しております。
こうした課題に対応いたしますため、今回の見直しでは、「生物多様性に富んだ豊かな森林づくりの推進」と「県産材の安定供給体制の確立」を戦略プロジェクトのテーマに掲げまして、重点的かつ戦略的に取り組むことにより、基本計画が目指します「琵琶湖と人々の暮らしを支える森林づくりの推進」を着実に図ってまいりたいと考えております。

Q;環境に配慮した森林づくりの推進について、どのような取り組みを行っていくのか伺う。

A;琵琶湖の水源林を健全な姿で未来に引き継ぐため、森林の多面的機能の持続的発揮に向けて、森林を適切に保全・管理いたしますとともに、多様な動植物が生息・生育する豊かな森林づくりを推進してまいりたいと考えております。
具体的な取組といたしましては、除間伐の計画的な推進、間伐等による環境林への誘導、森林施業の集約化や林地災害の復旧を進めるための境界明確化、地域の森林保全活動に取り組む団体等への支援、ニホンジカの効率的な捕獲などを積極的に進めてまいりたいと存じます。

Q;公共施設や住宅、木質バイオマスなど県産材の積極的な利活用の促進に向けた取組について伺う

A;県産材を積極的に利活用し、森林資源の循環利用を促進することは、林業活動を活性化させるとともに、地域再生や地球環境保全にも貢献するものと認識しています。こうしたことから、住宅等における県産材の利用や公共施設の木造化・木質化の取組を促進するとともに、県産材の加工施設や木質バイオマス利活用施設等の整備を支援してまいりたいと存じます。また、県産材を使った住宅や木製品に関する情報発信、研修会などの機会を通じ、木の良さや木を使う意義などについても普及啓発を行い、県産材の利活用をより促進してまいりたいと存じます。

Q;滋賀県域の県産材を活用した紙を使用することについて、知事の所見を伺う

A;県産材を活用した紙は、これまで有効に活用してこなかった林地残材を製紙用チップとして利用することから、森林資源の有効活用に資する取組であると考えております。また、こうした林地残材を価値あるものとして利用することにより、収益が森林所有者に還元されますことから、森林所有者の森林整備に対する意欲の向上にもつながるものと認識しております。議員ご指摘のとおり、地域の間伐材を利用したパルプを配合した紙の製造・販売が全国的にも進められているところでございまして、こうした紙の使用を進めていくにあたりましては、現在のところ、コストが高くなるなどの課題もございますが、環境に配慮された製品の活用としても有効なことから、本県としても、利用促進に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。

Q;滋賀の水源森林地域を守るために、どのような基本方針を策定したのか伺う

A;水源森林地域の保全に関する基本方針は、森林の有する水源の涵養機能が琵琶湖等の下流域への安定的な水の供給について欠くことのできないものであることから、水源森林地域の保全に関する施策の実施にあたり、基本的な考え方を定めたものでございます。この基本方針では、3つの基本的な事項といたしまして、
①「水源森林地域における適正な土地利用に関する基本的事項」では、土地の所有権等の移転等の事前届出制度の運用にあたり留意すべき事項や、適正な土地利用に関して配慮すべき事項について、
②「水源森林地域の指定に関する基本的事項」では、水源森林地域の指定の対象として、滋賀県の森林のすべてが重要な水源林であることを考慮すべきことなどについて、
③「その他水源森林地域の保全に関し必要な事項」では、多様な主体との連携による森林づくりの施策の推進や、水源である森林の恩恵やその保全の重要性に対する理解と関心を深めるための普及啓発等について、定めているところでございます。
基本方針に定めるこれらの取組を適切に推進することにより、本県の森林の有する水源涵養機能の維持および増進を図ってまいりたいと存じます。

原文↓

このたび、念願の琵琶湖再生法が制定されました。再生法は、琵琶湖を「多数の固有種が存在する国民的資産」と定義し、国による基本方針の下、滋賀県は策定する計画の事業に対し財政措置を行うこととされております。この点、第11条においては、森林の整備及び保全等が位置付けられており、琵琶湖の水源の涵養を図るため、森林の整備及び保全、森林に被害を及ぼしている動物の防除、その他必要な措置を講ずるよう努めるものとされていることから、今一度、琵琶湖とその取り巻く山々、森林政策について注目し、県としても施策を展開していかなければならないと考えます。

 このような中、琵琶湖森林づくり基本計画が、社会経済情勢の変化に対応していくために、取組の成果と課題を整理し、このたび5年ぶりの見直しをされます。 この5年間に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、「森林・林業基本計画」「全国森林計画」の見直し、「農林水産業・地域の活力創造プラン」の策定など、国における流れも大きく変動しております。 また本県においても、ニホンジカ被害の増加、巨樹・巨木の保護、林地境界の不明瞭化などの新たな課題への対応、森林資源の循環利用の促進、県産材の利用の拡大などに対応するため、昨年、琵琶湖森林づくり条例の一部を改正したところです。様々な社会経済情勢の変化、課題に鑑み、①これまで、計画が果たしてきた成果と課題をどのように受けとめ、今回どのような計画の改訂を行い、取組施策・戦略を成し遂げていくのか、伺います。

  次に、環境に配慮した森林づくりの推進について伺います。

 滋賀県の森林は、県土面積の約2分の1を占め、水源涵養や県土保全をはじめ、二酸化炭素の吸収源などの多面的機能を有し、県民の暮らし、そして、琵琶湖においてもなくてはならないものであります。 そのためにも、ナラ枯れや野生動物による森林被害等を防ぐとともに、保安林の適正管理、県有林や造林公社営林地などの適正な森林整備、また林地境界明確化など、多くの課題に対応し、水源林として、適正な保全・管理を推進していくことは重要であるといえます。 そこで、②環境に配慮した森林づくりの推進について、どのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。

 次に、森林資源の循環利用の促進について、伺います。

県産材を活用することは、森林資源の循環を活発にし、健全な森林整備に資することにつながるといえます。 現在、策定を目指している「しがエネルギービジョン」においても、バイオマスに関して、幅広い可能性があると言及し、とりわけ木質バイオマス発電については、安定的な原料確保など事業化に向けて様々な課題があるものの、地域の活性化や雇用創出にもつながる面もあることから、地域一体となって取り組みを進めていくことが求められております。 併せて、公共施設や住宅などへの県産材の利用拡大、さらにはどんどん進化していくペレットストーブや薪ストーブの利用促進による間伐材の利活用などをさらに進めていく必要があると考えます。 そこで、③公共施設や住宅、木質バイオマスなど県産材の積極的な利活用の促進に向け、どのように取り組みを進めていかれるのか伺います。

  また、現在、佐賀県や愛媛県、福岡県など、それぞれの県産材を活用したコピー用紙を利用する「木になる紙」の取り組みが進められております。この取り組みは、県産間伐材配合率30%、古紙パルプ70%を使用したコピー用紙であり、この間伐材製品の利用により、森林の公益的機能の維持発揮への貢献、林業生産活動の支援、カーボンオフセットによる地球温暖化防止への貢献などを果たすことができるといえ、平成25年度において、全体の森林所有者への還元金は約1800万円にものぼっており、森林資源の循環利用に一層貢献する仕組みであるといえます。 そこで、④紙の利用に関して、紙資源の減量化を行うことも重要ではありますが、利用の際には滋賀県域の県産材を活用したものを使用することを考えていく必要があると考えますが、ご所見を伺います。

 この項の最後に、水源森林地域の保全に関する基本方針について、伺います。

 水源森林地域保全条例が本年4月1日に施行し、来年の平成28年1月1日から水源森林地域内で土地取引などを行う場合には事前届出が必要となります。県では水源森林地域の保全に関する基本方針を策定するとともに、事前届出制度が行われるに先だち、県内5か所で地域指定に係るタウンミーティングが行われたところです。そこで、⑤滋賀の水源森林地域を守るために、どのような基本方針を策定されたのか伺い、次の質問に移ります。